2016年度入試(2017年4月入学)
小町を指導教員にと考えてこのページを訪れてくれた人、どうもありがとうございます。首都大学東京システムデザイン研究科情報科学域 小町研究室は自然言語処理の研究をしています。情報系に限らず、他分野の学科(人文・教育系を含む)出身で自然言語処理分野の基礎・応用の研究をしたい人を広く募集しています。研究の分かる(できる)エンジニアを輩出することを目指しています。本研究室は言語(英語、日本語)に関する知識、プログラミングに関する知識、機械学習に関する知識のいずれかに優れ、最先端の研究を挑戦する開拓精神に溢れた人をお待ちしています。また、人文系出身に限らず、障害のある方、女性、海外出身の方(外国人留学生や海外で学んだ経験のある日本人学生)、社会人経験者(セミリタイヤ後含む)、留年・短期修了(飛び級)など、様々なバックグラウンドのある方を歓迎します。
内部進学生と外部受験生に共通する話題は共通情報としてまとめてあります。
博士前期課程入試に関する3行要約
留学生特別選抜について、博士後期課程に進学希望かつ TOEIC 730点以上(TOEFL iBT 70点以上)の人のみ出願を認めます(日本の大学出身の留学生は博士後期課程に進学希望でなくても出願を認めることがあります)。博士前期課程希望の研究生を受け入れるのは以下のケースです。(1) 夏季入試に合格し、10月から入学する4月まで研究生として研究室に来たい人。(2) 文部科学省国費留学生として本研究室に来たい人。(3) すでに JLPT N1 に合格している人。
一般選抜について、博士後期課程へ進学希望かどうかは必ずしも問いませんが、夏季入試は TOEIC 650点(TOEFL iBT 60点)、冬季入試は TOEIC 730点(TOEFL iBT 70点)未満の方の出願は受け付けません。博士後期課程に進学希望でない留学生の人は、一般選抜で受験してください。共通情報の「博士前期課程について」も御覧ください。
社会人特別選抜について、英語力に関する要件は求めませんが、在職のまま出願し、かつ1年間の休職のできる方のみ出願を認めます。「社会人」とはソフトウェア開発または言語に関するお仕事(アノテーション、言語教育等)をされている方を想定しています。
博士後期課程入試に関する3行要約
研究生を希望する場合、座席が空いていれば原則的に受け入れます(修士号をすでに持っている場合)。
英語力に関して博士前期課程入試のように足切りはしませんが、TOEIC 650点相当未満の人は学内の派遣留学生経済支援制度が利用できないため、遅くとも D1 の終わりまでに TOEIC 650点を取得してください。入試は博士後期課程に進学後の研究計画について口頭発表をしてもらいます。入学後に必要な数学力・プログラミング力等は研究テーマによるので個別にご相談ください(新入生向けの基礎勉強会への出席は必須としていませんが、人文系出身の人は出席した方がよいです)。
首都大学東京博士後期課程研究奨励奨学金(月15万円支給)への申請には日本学術振興会特別研究員(DC1)への申請が必須なので、進学希望の人は採択される可能性に関わらず、DC1 に申請してください(進学の前年の5月ごろが〆切)。
本学以外で自然言語処理の研究ができる大学をまとめています。大学院から自然言語処理を学びたい人は、NAIST 松本研(自然言語処理に関するあらゆるテーマ)および中村研(対話・機械翻訳をやりたい人)をお勧めします。
博士前期課程について
Q: 他大学からの大学院進学ですが、大丈夫ですか?
A: はい、かまいません。2016年の入試までは文系出身の受験生も含め、日本人学生は全員夏季入試には合格しています(ちなみに、うちに合格してNAISTに不合格になることは多々あります。NAISTの入試の方が選抜が厳しいです。)。合格した上で NAIST など他大学に進学する人の方が多数派ですが、本研究室は文学部(仏文・哲学・国語学)からの入学実績があります(合格実績は法学部出身者・経済学部出身者・教育学部出身者など、多数あります)。冬季入試は夏季入試の合格辞退者数次第なので、文系出身かどうかどうかに関わらず、選抜は厳しいです(従って、冬季入試で受かる人文系出身の人は、理工系の人並みに数学ができる人です)。
数学に関して、学部2年次終了程度の情報系の基礎知識(線形代数・微分積分)は未習であれば入試を受ける前に独学で補ってください(下記の「入試について」の中で、具体的な項目を書きました)。一方、研究に必要なプログラミング・機械学習(数学)・自然言語処理(言語学)の基礎知識(情報系の学部3年次以降で学ぶ内容)は研究室の中の基礎勉強会でカバーされます。入学後夏休みまで、 自然言語処理やプログラミングの基礎勉強会を毎週開催します(人文系の人でもなんとかなるように、複数のレベル・内容の基礎勉強会があります)。入学前に必要となる知識は、たとえば以下の「履修しておいたほうがよい授業はありますか?」に挙げてあるような科目を参考にしてください。
本学の大学院では情報系の基礎科目は開講されていないので、人文系出身の人を含め、理工系以外から情報科学専攻に分野を変えたい人には、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科をお勧めしています。奈良先端大では基礎数学・プロ グラミングなど、基礎的な科目も開講されており、学部を持たない大学院大学なので、分野外から来る人は過ごしやすいです(逆に言うと、首都大の大学院の授 業は分野外から来る人のことは考慮されていません)。東京でないとダメ、という人は、総合研究大学院大学の情報学専攻(キャンパスは竹橋の国立情報学研究所)をお勧めします。
また、一般的に自然言語処理を学ぶことができる大学を まとめました。漏れがあるかもしれませんが(異動に追従できなくなっているかもしれませんが)、大きなところは網羅していると思います。情報系の学部にいるけどいまいる学部には自然言語処理の研究室がない、という場合、これらの研究室もそれぞれお勧めできるところですので、どうぞご参照ください。
他大学からの受験(首都大の他のキャンパス含む)の場合、受験前に小町に連絡をください。一度研究室に来てもらって、研究テーマなどについて話してみたいです。
Q: 人文・社会科学系からの進学希望ですが、かまいませんか?
A: はい、かまいません。大学院入学試験の数学(理工系の大学2年生程度の微分積分・ 線形代数)がクリアできれば、研究に必要な基礎知識は研究室内で身に付くよう、自然言語処理とプログラミングと機械学習の基礎勉強会を開催しています。プログラミングに関しては入学試験ではチェックしませんが、できれば入学試験までに、そうでなくとも入学までには「プログラミングコンテスト攻略のためのデータ構造とアルゴリズム」の「基礎編」を独習しておいてください(情報系の学部学科では、学部2年相当の内容です)。また、入学前に 自然言語処理を独習したい人のために を見て、不足している部分は独習しておいてください。
あと、修士号を取得するためには20単位(10科目)の授業の履修が必要で、これに関しては NAIST より取得のハードルが高いと思いますので、不安な人は NAIST に行くことをお勧めします。
首都大は近くに国立国語研究所という日本語学関係の研究所があり、うちの研究室の学生は定期的にここでプログラミングのアルバイトをしています。長期的にやってもらえる人を優先して紹介しているので、博士後期課程に進学希望の人文・社会科学系の方の進学を歓迎しています。
Q: 博士には進学せず、就職希望なのですが、かまいませんか?
A: はい、本研究室が第一志望の人(他大学と併願可ですが、合格した場合進学を確約できる場合)かつ以下のいずれかに該当する人は博士後期課程に進学希望でなくても構いません。
障害のある方
少数民族出身者
女性
情報系以外出身の人(人文系、物理・数学系などなんでも)
海外で学んだ経験のある人(ただし、語学留学を除く)
社会人経験者
留年している人・短期修了(飛び級)する人
(本研究室で修士号を取得後)海外の PhD コースに進学希望
修士からうちの研究室に来たい人は、上記以外は原則として博士後期までの一貫課程として、博士後期課程に進学希望の人を受け入れる予定です。ただし、博士後期課程に進学希望というのは、博士号取得希望を含意しません。例えば、博士後期課程に進学したあと海外の企業にインターンシップに行き、そのまま博士後期課程を中退して就職してもいい、というような人でもかまいません(ただし、博士前期課程で就職活動をしたい、という人はこれには含みません)。
小町の希望としては、経済的な事情から修士で就職するにしても、研究職志望で社会人博士等で博士号を取得したい人に来てほしいと思っています(お茶の水女子大学では、職場の理解も必須ですが、就職と同時に進学し、とりあえず休学しておく、というケースも珍しくないようです。)。就職予定の人でも、卒業後しばらくしてから社会人博士課程に進学することを検討している、というようなケースの人は大歓迎です。 在学中に受験すれば受験料と入学料が不要であり、入学してすぐ休学すれば授業料もかかりません。長期履修制度という、3年分の学費で最長6年間在学できる制度もあります。
就職活動については、他大学から首都大に来て修士の2年間で就職活動をするより、NAIST で2年間過ごして就職活動をしたほうが、一般的には苦労しないようです(奈良だと就職活動で交通費がかかると思う人もいるかもしれませんが、長期化しない 限りは大きく交通費はかからないようです)。実家から首都大に通える、都内開催の勉強会に参加したい(すでにしている)、卒研で自然言語処理や機械学習を使ったり独学やアルバイトで勉強している、他の研究室はありえず小町の研究室にどうしても来たい、などの事情がない限り、他大学から進学するなら、修士で就職することが確実な人は首都大より NAIST の方が優れているので、NAIST を検討することを強くお勧めいたします。
判断に迷う場合、悩んでいる場合などは一度見学してください(いずれにせよ、受験希望者は全員見学してもらっています)。また、研究室では研究開発に関するアルバイト(含む共同研究)やインターンシップを奨励していますが、自分の研究そっちのけでアルバイトやインターンシップをしてよい、という意味ではありません。研究もインターンシップも両方やりたい、というような人を歓迎します。
Q: NAIST 松本研とどう違いますか?
A: 小町が NAIST 松本研出身なので、NAIST 松本研の文化を色濃く受けており、以下のような共通点と相違点があります。
共通点
勉強会(=研究グループ)が主体の研究(→学生が勝手に立ち上げる勉強会も多数)
学生が自分で研究テーマを決める(→最初の研究テーマは研究室のプロジェクトから選択してもよい)
機械学習をベースとする自然言語処理の研究が主体(→言語学的な知識や分析に基づく言語資源構築も盛ん)
いわゆる文系出身者も歓迎している(→研究室の基礎勉強会が充実しており、自然言語処理の基礎知識はフォローアップ)
世界トップレベルの研究を(目指して)いる(→大学あたりのトップカンファレンスでの発表論文数は NAIST が国内他組織に大差をつけて1位だが、1学生あたりのトップカンファレンスでの発表論文数はどちらの研究室も同程度)
松本研が優れている点
スタッフ数が違う(松本研の方が圧倒的にスタッフが多く、研究指導を綿密に受けられる→小町との相性がいい人は、特に気にならないかも?)
博士後期課程の学生・留学生の数が違う(サーベイ量や知識による研究の厚みや多様性が違う→積極的に学外で武者修行する人は、特に気にならないかも?)
計算機環境が違う(松本研の方が高性能な計算機を大量に使える→学生1人あたりで考えると、特に気にならないかも?)
歴史が違う(松本研の方が20年以上の歴史があり、世界的にも著名→研究的には積み重ねがないので、今後の伸びしろは圧倒的にうちの研究室)
経済的に違う(寮に入れれば月2万円で住居・電気代その他お釣りが来るし、TA/RA もある→経済的に困っていない人は、特に気にならないかも?)
小町研が優れている点
大学の場所が違う(一応都内にあるので各種勉強会等に参加しやすい・通学しやすい→大学での研究・開発以外に興味がある人はドロップアウトするリスクが高まる)
研究の仕方が違う(毎週30分は必ず小町が進捗報告を聞くので、全く成果が出ないということはない→実験結果を他人に見せたくない・原稿を他人に見せたくない人には向かない)
研究室の雰囲気が違う(みんなでワイワイ勉強したり研究したり遊んだりする→グループ行動が苦手な人には全く向かない)
企業との連携が違う(インターンシップやアルバイト、共同研究への参加を奨励している→やらない人にとってはメリットではない)
今後が違う(小町は定年まであと20年以上あり、研究室として急成長中で、基本的に異動する予定もない→D 進する予定がなく、また企業でも特にウェブ業界など自然言語処理や機械学習の知識を行かせる分野に就職したいという訳ではない人には、メリットではない)
うちも数回見学し、NAIST に行くことを強く勧めて NAIST に進学した人が入試に関する記事を書いてくれています。
博士後期課程について
Q: 博士後期課程に進学してやっていける自信がありません。
A: 周囲に博士後期課程の学生がいないと、どのような生活をしているのかイメージができないかもしれませんが、だいたい修士の学生が2年かけてやる研究(=査読つき国際会議論文1本)を毎年やる(=3年間で査読つき国際会議論文3本)、という流れです。それができる人もいますし、できない人もいます。だいたい 博士後期課程に進学した学生のうち、1/3がストレート(あるいは短期修了)で博士号を取得します。1/3が何年か追加でかかって博士号を取得します(つまり、1本の論文に2年以上かかるとそうなります)。1/3はどうやっても博士号を取得できません(つまり、何年かけても論文が書けないとそうなりま す)。
NAIST 松本研は2016年は博士後期課程の学生が23人、博士前期課程の学生が24人いるようですが、割と抵抗感なく博士後期課程に進学しており、博士後期課程 に進学する人が身近にいれば、そんなに不安になるようなものではないようです。上記のように、必ずしも博士号をストレートで取れている人たちばかりではあ りませんし、博士号を取れない可能性も(修士号までと比べるとはるかに高い割合で)あります。しかし、それでも進学する人が少なくないのは、博士号取得に 時間がかかる、あるいは取れなかったとしても、就職できないわけではない、というのを見ているからです。
小町が博士後期課程の学生に期待するのは、博士号を取得してアカデミア(大学あるいは国立の研究所等)で教員・研究者として研究をする、ということではありません。そ れよりは、新しく自然言語処理や機械学習を用いて研究開発を行おうとしている企業に就職して、例えば人工知能研究所を率いるリーダーや研究開発グループの コアメンバーになって、世の中にインパクトを与えるような仕事をする、ということにチャレンジしてほしいです(特に、海外の企業に就職して海外で活躍する 人が出てきてほしいと思っています)。
博士号を取得した人、というのは、もちろんその分野の第一人者となるわけですが、それ以外の分野も必要とあれば自力で学び、問題点を発見し、必要な 人と協力して問題解決に当たる、という高い汎用的な能力を身につけた人です。その訓練として、毎年1本査読つき国際会議に通す、という目安(ペースメー カー)があるので、世界を支える、そして少しずつ変えていくような仕事がしたい人は、ぜひ挑戦を検討してもらえたらなと思っています。
Q: 博士後期課程に進学したいです。
A: はい、博士後期課程の希望者に関しては、全力でサポートしたいと思います(H27年度から博士後期課程の学生が2名、H28年度から4名、H29年度から6名在籍しています。H30年度にはさらに増える予定です)。他には東工大奥村研究室あるいは NAIST中村研究室・荒牧研究室も検討することをお勧めしています。
また、日本学術振興会特別研究員に採用されれば、3年(DC1)または2年(DC2)の間、月20万円のお給料をもらいながら研究することができま す。自然言語処理は学際的な学問であるため、採択率は割と高い方だと思います(自分が申請書を添削した人のうち、DC1またはDC2が取れた割合は9割程 度です)。首都大は、DC1 に申請した人を対象に、DC1 が不採択でも3年間(DC2 に採択されるまで)月15万円を給付する奨学金制度(首都大学東京博士後期課程研究奨励奨学金)があります。学振 DC1 より高い確率でもらえる制度ですので、博士後期課程に進学希望の人は早めにご相談いただければ、経済的には多少余裕を持って学生生活を送るアドバイスがで きると思います(上記のように、日本学生支援機構の奨学金も、本研究室では半分前後の人が全額または半額返還免除になっています)。博士後期課程の学生に対しては、授業料の半額程度が支給される制度があります。
博士後期課程に進学しても、自然言語処理分野であれば、ストレートで博士号を取得できる人は企業を含めると就職には困らないので、心配無用です。た だし、博士号を評価してくれる(=博士号を取得したことによって、給料や仕事内容が変わる)企業は少なく、そういう就職先は主に研究所になります。自然言 語処理分野では狭義の研究をする(=論文を書く)ことを主要な業務とできる企業の研究所は日本では恐らく NTT コミュニケーション科学基礎研究所(言語処理関係は京都)および IBM Research - Tokyo の2カ所で、業務の一部に含めることが可能なのは NTT サービスイノベーション研究所(横須賀)、富士通研究所(横浜)、NEC研究所(川崎)、富士ゼロックスR&D(横浜)、楽天技研(東京)、 NHK技研(東京)、ヤフー研究所(東京)、豊田中央研究所(愛知)、ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(埼玉)といったところです。ま た、これら以外にも、東大・京大・東工大をはじめとする国立大学や国立情報学研究所(東京)や情報通信研究機構(NICT=言語処理関係は京都)、産業技 術総合研究所(言語処理関係は東京)のような国立の研究所で随時研究員の募集があり、どこにも就職先がない、という状況は極めて少ないです。
博士後期課程では日常的に査読付き国際会議の論文を読み、自らも投稿・発表することが必須ですので、プログラミング力だけではなく英語力も必須で す。博士号取得時には TOEIC 800点は超えているようにしましょう。博士後期課程在学中に、社会人博士などを除き原則として数ヶ月〜半年程度の海外インターンシップあるいは国際共同 研究に行ってもらうことにしています。
Q: 社会人博士は受け入れていますか?
A: はい、受け入れています。お気軽に小町にお問い合わせください。会社のフルサポートがない方でも続けられるよう、土曜日または平日夕方〜夜の時間帯に勉強会(進捗報告)の時間を設けています(平日昼間以外の方は、基本的に Skype ミーティングです)。
ちなみに、東京都在住の人は入学料が半額になります。また、3年で取得せずたとえば6年で 取得したい場合、3年分の学費で済む長期履修制度があります(2015年度、2016年度に利用実績があります)。
社会人修士も入試制度としてはありますが、卒業のために修論とは別に20単位(10コマ)の取得が必要であり、M1の授業期間は週3-4 日程度授業を受けに来る必要があります(あるいは M2 でも授業を取るなら、2年間で授業期間の週2-3日程度)。1年間の休職が可能な場合は、1年目に授業の単位数を揃えることで修士号の取得が可能ですし、博士後期課程に進学希望の人は修士号を1年あるいは1年半で取得する短期修了制度もあります(ただし、短期修了はストレートに修士号を取るよりはハードルが高いです)ので、博士前期課程への入学を希望される場合もご相談いただければと思います。
修士号を自然言語処理関連分野で取得されている場合は社会人博士として受け入れますが、そうで ない場合は(自然言語処理関係の国際会議の発表経験がある、あるいは自然言語処理に関する仕事をしている、といった場合などを除き)博士前期課程に入学していただくことをお勧めいたしますので、ご相談いただければと思います。分野外から博士後期課程に進学すると、フルタイムの学生だとしても3年で終えることは困難なため、1-2年間は博士前期課程で基礎を身につけたほうが遠回りのように見えて近道だと考えています。
短期修了や博士号取得に必要な要件等につきましては、個別にご相談ください。
大学院入試について
Q: 英語はどれくらいできればいいですか?
A: 博士前期課程(修士)の出願には英語能力試験のスコアが必須ですので、TOEIC または TOEFL を受験してください。点数が思わしくない人は、何回か受けるとスコアが安定して、最初に受けたときより100点以上スコアが上がることは珍しくありません。修士に入学したときと卒業するときで、TOEIC のスコアを +100 点することが目標です。
H28年の入試(2017年4月入学)から、外部受験の英語能力試験の基準点を設定しています。H29年以降の一般選抜では、原則として夏季入試は TOEIC 650点(あるいはTOEFL iBT 60点)未満の方、冬季入試は TOEIC 730点(あるいはTOEFL iBT 70点)未満の方は受験をお断りします。また、上記の点数に満たない方は、受験目的での見学をお断りします(受験目的でない見学は歓迎しますが、受験する場合は出願前に受験目的での見学をお願いしています)。
博士後期課程の入試には特に英語能力試験のスコアは必要ありませんが、博士号取得までに国際会議に論文を数本採択される必要があるので、英語で作文・発表できる能力は必要です(進学までに英語で論文を書いた経験があれば、問題ありません)。また、2016年10月から順次、研究室内の進捗報告はグループ単位で公用語を英語にしていく予定です(まず機械翻訳グループ)。
ちなみに TOEIC の平均点は 580点ほど(日本人平均は510点)です。研究室内では、内部進学(筆記試験免除)の学生も学部を卒業するまで(修士進学時)に TOEIC 650点、修士を卒業するまで(博士進学時)に TOEIC 730点、博士を卒業するまでに TOEIC 800点を目標としています(例えば楽天は入社時までに TOEIC 800点が要求されます)。目安として、TOEIC 500点以下の人は論文を読むことが困難、600点以下の人は論文を書くことが困難、700点以下の人は会話することが困難です。
Q: 数学はどれくらいできればいいですか?
A: 過去数年分の問題が事務で配布されているので、入手して解いてみてください。H30年度から学部・研究科再編のため、過去問がたくさん渡されますが、「情報通信システム学域」の「線形代数・微分積分」を見てください。
自然言語処理の研究で必要とされる数学とは多少異なりますので、人文系から出願する人の場合、できなくてもあまり気にする必要はありませんが(特に微分積分)、半分程度は解けるように勉強してきてください(知っている問題が半分解ける、という意味ではなく、全ての出題範囲のうち半分が解ける、という意味です)。数学に不安がある人は「プログラミングのための線形代数」「これなら分かる最適化数学」あたりを当たってみてください。本研究室は人文系出身の人も歓迎しますが、研究室や大学として入学後に数学のバックアップは一切ありませんので、不安のある人は NAIST も受験してください。
線形代数では、3x3程度の行列の固有ベクトル・固有値の計算、逆行列や行列式の計算、対角化などができることを想定しています。線形代数は大学1年生相当の範囲全てが対象になります。(人文系の人でも、これらが全てできればいいですが、できない項目が1つでもある人は、できるようにしてから入学試験を受けてください)
微分積分では、初等関数(多項式、e、log、cos など)の微分、積の微分、合成関数の微分、偏微分などの計算ができることを想定しています。微分積分に関しては高校数学(理工系の大学受験レベル)の微分が理解できていればよく、微分方程式や積分は手がつかなくても構いません。(人文系の人でも、これらが全てできればいいですが、できない項目が1つでもある人は、できるようにしてから入学試験を受けてください)
高校数学は全ての範囲が必要なのですが、どこまで戻って勉強し直せばいいか分からない人は、もどりま表を見てみてください(単元によっては、中1まで戻る必要がある場合もあります)。「もどりま表」で未習部分がある場合、未習部分の全てを入試までに学んできてください。いわゆる文系の学部の人でも、大学受験までは理系で数学を勉強していた、というような人は、特に問題ありませんが、高校時代から文系選択で、数学は高1までしかやっていない、というような人は、相当な覚悟が必要です。数学の独習は難しい、教えてほしい、という人は、NAIST をお勧めします。
理工系出身の人は「言語処理のための機械学習」をパラパラとめくってみて、それが理解できる程度の数学力があるかチェックしてみてください。
また、博士前期課程の社会人入試および博士後期課程の入試は英語のスコア提出や数学の試験はありません。
Q: プログラミングはどれくらいできればいいですか?
A: 入試の筆記試験ではプログラミング力は評価しません。ただし、研究室の基礎勉強会は、「プログラミングコンテスト攻略のためのデータ構造とアルゴリズム」の基礎編が(教科書を見てもいいので)解ける程度のレベルを身につけていることを前提とします(情報系の学部1-2年生で履修する内容です)。これが解けない人は、入学してから特に補習はしませんし、最初につまずくとそのまま1年間挽回不可能になりますので、情報系出身でない人は必ず入学前に自習してきてください。
プログラミングの経験がなく、数学力も不足しており、英語力も不十分な場合は、入学しても卒業することが困難ですが、数学力あるいは英語力のいずれかが不足していてもプログラミングの経験があれば補うことが可能なので、人文系出身の人や社会人経験者で、アピールできるプログラミング経験があればお知らせください。研究室の定員のボーダーラインにいる場合、英語力・プログラミング力・数学力を総合的に判断します。数学力および英語力のいずれも不足しているが、プログラミング能力は抜群にある、という方が情報系の大学院に進学することは歓迎しておりますが、本研究室では受け入れが難しいので、他研究室をご案内します。
Q: 受かるかどうか、不安です。
A: 本研究室で過去3年間受験を許可し、夏季入試を受けた人は全員大学院には合格しています。過去落ちた人は基本的に TOEIC 500点以下の人または数学が全然解けない人(「全然」とは、線形代数と微分積分を合わせて10問弱出題されて、3問程度しか解答できない状態を指します)でした。
ただし、H30年度入学の学生(2017年8月に実施される大学院入試)からは新組織(情報科学域)での入試となりますので、数学の問題の傾向や難易度はこれまでと同程度の予定ですが、選抜の難易度が同程度とは限りません。また、大学院の合格は研究室配属とは独立に判定されるので、大学院には合格してもうちの研究室の定員を超えている、ということはありえます(2017年に実施される大学院入試から、研究室の定員を設けています)。
冬季入試に関しては極めて選抜の難易度が高いので、人文系の人は特に数学をしっかり勉強してください。冬季入試で落ちた場合、研究生として半年在籍することを許可しています。夏季入試に合格した場合はさらに半年研究生を延長し、4月入学できます。ただし、研究生には奨学金等の経済支援はありません。
Q: 研究計画書には何を書いたらよいですか?
A: 入学してから取り組みたい研究内容について書いてください。ここで書いた内容を必ずしも入学後にやる必要は全くないので、自由に書いてもらえればよいです。ただし、面接ではこの研究計画書に基づいて質問されるので、提出する前にコピーを取って面接前にもう一度読み返すことをお勧めします(あるいは、研究計画書はコピーを貼り付けて提出してもいいので、最初から電子的に書きましょう)。
出願したら、小町に出願書類に同封した研究計画書を送付してください。本研究室が第一志望の場合は出願前でも送っていただければコメント・添削します。本研究室が第一志望ではない場合は添削しません(コメントはすることがあります)。本研究室が第一志望ではない場合、第一志望の研究室の大学の教員や学生(OG/OB含む)などに相談してください。
※NAIST 志望の方から NAIST の研究計画書の添削依頼を受けることが多々ありますが、一切お受けしていません。本学の学部生が NAIST を受ける場合に限り、NAIST の研究計画書に対するコメントはします。
基本的には、研究する能力があるかどうか、を見るために用います。どのようなスタイルで書けばいいか分からない人は NAIST の小論文についての記事など読んでみてください。
外国人留学生について
Q: 留学生を受け入れていますか?
A: はい、優秀な留学生の進学を歓迎しています。過去に1人在籍しました(2016年3月博士前期課程修了)。2017年度は博士前期課程に1人、博士後期課程に2人在学しています。様々な国や文化を背景に持つ人の進学を歓迎します。ただし、2015年度以降は、留学生特別選抜は原則として博士後期課程に進学希望の留学生のみ受験を許可しています(一般選抜と合否の基準が異なります)。博士後期課程に進学を希望しない留学生は、すみませんが他大学・他研究室を受験するか、一般選抜で出願してください。
研究テーマに関しては、自然言語処理のことを十分に調べている人の出願を希望します。留学生からもらうよくあるメールとして、研究室の研究テーマ一覧に書かれているテーマの一つを選んで「この研究がしたい」というメールをいただく場合がありますが、情報系出身であるにもかかわらず学部で履修した科目がどれも自然言語処理や機械学習・パターン認識等と全く関係なく、志望する(自然言語処理または機械学習に関する)研究テーマに関して独学した形跡が全くない方は、他の研究室をご案内しています。特に、ネットワーク設計、システム開発などで卒論を書いた人、それらの科目を中心に履修している人は、他の研究室をご案内する可能性が高いです。
自然言語処理でなくても音声処理、画像処理、データマイニングなどで卒論(修論)を書いた人や、数学・物理専攻の学生など数学の知識のある人は大いに歓迎します。これらのバックグラウンドをお持ちの方は、入学後に研究テーマを考えればいいので、特に研究テーマが決まっていなくてもかまいません(問い合わせのために無理に研究テーマを決める必要はありません)。
また、研究室の過去の研究テーマ一覧になくても、独学で「この研究がしたい」と思って色々調べてからメールをいただく場合は、大歓迎しています。興味のある論文・教科書・ブログ等を読んでみてください。
また、学術協定を結んでいる大学の人であれば、文部科学省国費留学生の大学推薦制度も利用できますので、お問い合わせください。大使館推薦による文部科学省国費留学生も受け入れているので、第一次選考に合格した人はお気軽にお問い合わせください。
Q: 日本語の能力はどれくらいあればよいですか?
A: このページを読んでいる時点で、研究に必要な日本語能力は十分あります。
ただし、入学してから大学院の修士の授業はほぼ全て日本語ですし、研究室の基礎勉強会は日本語で行われるので、博士前期課程(修士)に入学する場合、日本語能力試験1級に合格する程度の日本語能力がなければ厳しいです。本研究室の修士に入学したい人は、基本的に日本語能力試験1級を取得しておいてください(資格がなくても、日本に来て2年以上経っている場合は、問題ないことが多いです)。
一方、博士後期課程は授業を取る必要がないので、日常生活が送れる程度に日本語ができれば良いです(その代わり、英語の能力が必須です)。基礎勉強会以外の勉強会(進捗報告)は、段階的に英語と併用にしていく予定です。とはいえ、研究室の雰囲気として、みんなでワイワイと勉強・研究・遊び(スポーツ、ゲーム、アニメなど)をする、という感じですので、日本語ができた方が楽しく過ごせると思います。
Q: 日本語ができれば英語はできなくても大丈夫ですか?
A: いいえ、英語も研究には必要です。自然言語処理では基本的に国際会議で最先端の研究成果が発表されるので、先行研究の調査をするために、英語の論文を読む能力が必須です。毎週国際会議の論文紹介を開催していますし、研究のサーベイ期間中には、毎週英語で書かれた論文(1本8〜10ページ)を10本(3ヶ月で100本)リストアップし、3本アブストラクトを含めてざっと眺め、1本は全体をしっかり読む、というサイクルが基本ですので、とにかく多読します。
論文は専門用語が頻出しますが、ほとんどは非英語ネイティブの研究者が書くので、文法自体は中学生レベルです。専門用語さえ身につければ、読解は難しくありません。半年も研究室にいると慣れると思いますので、あまり英文を読んだ経験がなくても、気楽に考えてください。
また、博士前期課程(修士)入試のときは日本語能力試験のスコアの提出は必須ではなく、日本人学生と同様、TOEIC または TOEFL のスコアの提出が必須です。H28年度入試からは、TOEIC 730点未満(あるいは TOEFL iBT 70点または CET-4 500点未満)の留学生は出願を認めません。TOEIC/TOEFL ではなく CET の4級(または6級)を保持している場合は、スコアをお知らせください(ただし、受験には TOEIC または TOEFL のスコアが必要です)。
研究生について
Q: 研究生を受け入れていますか?
A: はい、受け入れています。ただし、大学院進学希望で、かつ日本人・留学生のいずれも、TOEIC 730点(TOEFL iBT 70点、CET-4 合格)以上の人に限ります。留学生の場合、4月から研究生になりたい人は、JLPT N1 に合格していることを条件とします。10月から研究生になりたい人は、夏季入試を受験してください。合格した場合は研究生として受け入れます。10月からの研究生は JLPT N2 合格でもかまいませんが、大学院進学までに JLPT N1 に合格してください(博士前期課程の学生は、進学してから日本語の勉強をしている時間はありません)。
留学生の場合、東京の日本語学校に通っている人は、大学院試験を直接受けてください。夏季の大学院入試に合格した場合は、翌年4月に入学するまでの間の半年を研究生として受け入れます。冬季の大学院入試を受験して落ちた場合、4月から9月まで研究生として受け入れます(夏季入試にも不合格だった場合は研究生を延長しません。合格だった場合は4月まで研究生を延長します。注意してほしいのは、本学は10月入学が存在しないので、夏季入試に合格したとしても1年間研究生になる、ということです)。夏季・冬季いずれも大学院入試を受験しない人は、研究生としては受け入れません。
日本在住経験がない人は、大学院試験を受験する前でも研究生としての内諾を出します(国内に保証人を頼める人がいない場合、小町が保証人になります)。海外から新しく日本に来る場合、10月入学の研究生の事前出願締め切りは6月(10月入学でも11月から来るので構わないなら、8月で OK)、4月入学の研究生の出願締め切りは2月です。書類に小町の押印が必要なので、出願締め切りのじゅうぶん前にご相談ください。
また、留学生で文部科学省国費留学生の第一次選考に通った方にも研究生としての内諾(許可)を出します。本学が第一希望でなくてもかまいませんが、文部科学省国費留学生の第二次選考に不合格だった場合は、研究生として来日することはできません。また、修士号をすでに取得していて、博士後期課程に進学したい場合は、文部科学省国費留学生でなくても研究生としての入学を許可します。
進学希望ではなく、学位取得を目的としない場合(仕事で自然言語処理の知識が必要になって半年間勉強したい、または研究がしたくなったので1年間くらいかけて論文を書いてみたい、といったケース)の研究生に関して、以前は受け入れていましたが、本年度からは研究室的に余裕がないため受け入れないことにしました。
Q: 研究生と一般学生との違いはありますか?
A: 研究生も学生ですので、基礎勉強会を含め各種勉強会への参加に関して他の学生(大学院生、学部生)と同じですし、研究室としては区別しませんが、2017年度以降、研究生にはメインの学生室の座席を割り当てることができない見通しです。また、研究室以外の授業を履修することはできません。
研究を行う(=毎週の進捗報告メンバーに入る)場合、研究生の修了時に研究報告書を提出することで、研究修了証明書の認定を行うことができます(提出しない場合は認定されません)。研究の発表や聴講に関する学会参加等に関しても他の大学院生・学部生と扱いは変わりません(研究を行わず基礎勉強会のみに参加する研究生の場合、聴講に関する学会参加費や旅費は出しません)。
一点注意しておきたいのは、本研究室で学生が学ぶのは教員とのやりとりからは1割程度で、残りの大部分は研究室の先輩、同期、そして後輩とのディスカッション(雑談含む)からです。研究室に来て研究を行う(これらの話に参加する)かどうかが重要であり、例えば基礎勉強会・進捗報告の日以外は研究室に来ないような人は、研究生・大学院生であっても学ぶ環境を十分に生かすことができません(学位取得に関しては、本人に実力があれば、研究室に来なくても取得できるでしょう)。